2010年10月12日火曜日

豪経済、成長スピードは上限近い水準=豪中銀議事録

 [シドニー 16日 ロイター] オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は16日、政策金利の25ベーシスポイント(bp)引き上げを決定した3月の金融政策理事会の議事録を公表した。
 議事録は利上げの理由として、経済統計で国内経済の成長スピードが上限近くとなっていることが明らかになったこと、また全般に住宅価格が大幅に上昇したことを挙げた。
 欧州の財政問題については、適正に取り組まなければ世界の金融市場を混乱させる可能性があるものの、現実化するとは考えにくいとした。
 理事会メンバーは、金利は徐々に通常の水準に向けて上昇することが引き続き適切であり、この方向に沿って追加措置を取ることが時宜を得ていると判断した。
 また、住宅ローンの承認件数は伸び悩んだものの、住宅価格は一部を除き引き続き大幅に上昇していると指摘した。
 豪中銀は3月の理事会で政策金利を25bp引き上げ4.0%とした。利上げは昨年10月以来4回目。
 これにより豪金利は先進国で最高水準となり、豪経済の強さを強調するかたちとなった。
 議事録は、最近の経済統計では、過去数カ月の成長率はすでにトレンドかそれに近い水準となった可能性があることが示されていると指摘した。
 豪経済の長期の潜在成長率は3.5%程度とみられており、中銀はこれが今後2年にわたり続くと予想している。
 議事録は、健全な消費支出、住宅建設の増加、企業向け融資回復の兆し、今後数年間経済を押し上げるとみられる鉱業セクターの活況など、すべてが中銀の強気見通しを支援していると指摘した。
 ギリシャについては、世界の銀行セクターのエクスポージャーは小さいと指摘。エクスポージャーが最大の国でも、全体に占める割合は小さいとの見方を示した。
 他の国や市場へ波及する可能性が主要なリスクとしながら、主にユーロ圏内の話と指摘。金融市場に新たな混乱をもたらす可能性は小さいとの認識を示した。 
 JPモルガンのエコノミスト、ヘレン?ケバンズ氏は「きょうの議事録のトーンは強気だった。われわれは政策金利が2010年末までに5%に達すると引き続き予想している」とした上で、RBAは10月に利上げを開始したことから、今後の政策措置には柔軟性があり、4月の理事会については予測しがたいとの見方を示した。
 豪ドルは議事録発表後に一時売られ、1豪ドル=0.9119米ドルをつけたが、その後急速に買い戻されて0.9143米ドルまで上昇し、市場が4月の理事会について判断しかねていることがうかがわれた。
 金利市場はほぼ変わらず、4月の理事会で政策金利が4.25%に引き上げられる確率を約36%織り込んでいる。
 RBCキャピタルのアナリスト、スーリン?オング氏は「市場は(議事録から)、将来の措置が小幅になるということを読み取ったが、特に目新しいことだとは思わない」と指摘。利上げ局面が進むにつれて毎回の理事会で引き上げを行わなくなるというのは当然との見方を示した。RBAは過去5回の理事会で4度の利上げを行っている。

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引用元:RMT(リアルマネートレード)専門サイト『RMTワンファースト』